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サロマ湖100kmマラソンへの道 最終回

僕達は、吸い込まれるようにワッカの原生林の手前にある雑木林にはいって行く

ここから約10kmワッカの折り返しへ向け走らなければならない。往復20km、最後の山なのだ
遂に雑木林の中に待望の80kの喚問を見つけた

「あと、2分で閉めるよー」

と大会スタッフが、叫んでいる横を通過。
80kのラップは、9時間58分02秒、5kのスプリットタイムは、37分29秒、平均脈拍145

「歩きましょう。」

佐藤さんと僕は、先程から80kmの関門をクリアしたら自分達へのご褒美に歩くことをふたりで固く決めていたのだ。
程よく80k付近は、上り坂になっており歩いてもさほど罪悪感を感じない

登りきるとワッカの原生林が、眼下に広がる。確か夜久さんの本の裏表紙が同じ景色だった気がする。
とても美しい幻想的な景色だが僕達の一番の興味は、

「ワッカの折り返しは何処なんだ?」

ということなのだが、残念ながら遥か先で確認できない
むこうから続々とランナーが、折り返してくる。僕達より20kも先を走っている計算だ。

この先に、チェックが、無ければ回れ右して復路のランナーに紛れ込みたい気分を抑え僕達は、再び走り始めた。
ワッカの原生林に入り初めてのエイドに着くと折り返して来た水分補給をしている夜久さんを見つけた。僕は、精一杯元気を出して

「夜久さーん」

と、声を掛けると

「ああ~」

右手を挙げて応えてくれた

僕より2時間位早くゴールする事が予想される夜久さんでも顔に随分疲労の色が見えた。多分僕はもっと情けない顔をしているんだろう。

85kのラップは、10時間41分17秒、5kのスプリットは、43分15秒、平均脈拍139.
この頃になると1キロごとの表示が、恋しくて仕方が無い。キロ表示を、見つけると、佐藤さんと

「いた、いたー」

と叫ぶ、まるで待ち合わせしていて見つからなっかった恋人を見つけた感じだ

おり返しコースの方に(ランナーが左側通行しているだけで明確な区別は、ないのだが、)90kの喚問を見つけた。
時計は、4時を回ったところスタートしてから11時間経った。90kの喚問は、4時半だ。

「あと、30分だぞー帰って来いよー」

大会スッタフが、ランナーに暖かく声をかけている.
北海道くんだりまで来てうえに85kも走ったのだ。

「絶対帰って来るぞ。」

と、強く自分に誓い、ワッカのおり返しへ向けひた走る
折り返してくるランナーーに中に原先生がいた。4時間ぶりの再会だ

「もうすぐおり返しだよ」

「ほんと・・」

一言だけ言葉を交わしすれちがう。
この言葉を信じてしばらくすると、あった、あった、ワッカのおり返しを見つけた。
小さな橋を渡りおり返す。ここで僕は、佐藤さんに

「僕、歩きます。」

と、話しかけると、

「じゃ、先に行かせていただきます。」

丁寧な返事をして彼は、先行して行った。
最期の90kの喚問を5分前に通過、ラップは、11時間25分07秒、5kのスプリットタイムは、43分50秒平均脈拍は139.

ここからは、独りで走らなければならないのだ

子供達の写真を見て気力を振り絞り走り出すが、長続きしない

気力は、あっても脚が言うことをきかない。まるで鉛の様である。むこうからワッカの折り返しへこれから向かうランナーが、来た。

90kmの関門をクリアするのは、ほぼ不可能と思われるにも拘わらず走り続けるランナーに感動をおぼえる
95kのラップは、12時間09分42秒、5kのスプリットタイムは、44分34秒、平均脈拍136。

再び前を走っている佐藤さんに追いついた。
既に僕の右足首は、一歩一歩着地するたびに悲鳴をあげている。佐藤さんに

「足首痛くないですか?」

と、同調を求めると

「脚っすか?全部痛いっス。」

との答、僕だけ辛い訳でないことを知って自分を奮い立たせる
僕達は、やっとワッカの原生林の出口にある雑木林に入って行くことができた。ワッカに向かう時にあった80kの喚問が撤収しているところだった。僕は、歩き始めたため、再び佐藤さんが先行した。

ワッカの原生林を出たところで歩いていると98kの手前で25kから一緒に走ったトライアスロンのお母さんに追いつかれた。
彼女は、不安そうというより悲壮な声で

「完走できるやろかー?完走できるやろかー?」

と、言いながら走っている。彼女の後ろに走る男性ランナーが、

「大丈夫!絶対完走出来る。」

と励ましている。残り2kちょっと残り時間は、20分ちょっとある。僕は、体はもちろん辛いことは確かだが

「充分完走できるはず。」

と確信しているのだが、彼女は、先程は顔で笑ってはいたが、一度目のリタイヤが、よほど、悔しかったのだろう少しパニックに落ち入っているようで
(そりゃそうだ、皆、100k走る為、何ヶ月も前より準備をしている筈なのだから。)
彼女は、泣きながら

「脚が、痛い。痛くて走れへん。でも走らんとなあー」

と言いながら僕を抜いて行く。

僕は、今一度、お産とウルトラマラソンどちらが、辛いか聞きたっかったが、とても聞ける状態では、無い。
さすがにずうずうしい僕も聞けなっかった

最期と思われるエイドステイションの高校生達が、

「あと、2Kです。がんばってください。」

と、応援してくれた。

「98k地点は、何処?」

と、聞くと「そこの角を曲がった所です。」 と親切に教えてくれる。
角を曲がり98k地点をクリア!

とうとうあと2kだ

最期の直線道路を殆ど歩いて99k地点に、辿り着く。残り10分ちょっと、完走は、確実と確信し歩く。自分に優しい僕は、完走さえできれば、制限時間ぎりぎりで充分だと思いなるべく歩く
富士五湖の80kmだって4秒前のゴールだったのだ、今回は、2,3分前にゴールできる筈だ余裕たっぷりである

ゴールの方から完走し終わったと思われるランナーが、走って来る。

仲間のランナーを心配して迎えに行っているのだ。100km完走した後によく体力と気力が、残っているもんだと感心する。
先にゴールしたと思われる原先生は、もちろん迎えに来ない

非公式に残り500mの表示がある。残りは5分。最期くらいは、走ってゴールをしようと思い走り出す。
ゴールは、最期、右に曲がって約50mの所にある。

その曲がり角の手前にゴールしたと思われる3人の男性が、このレースのパンフレットを一生懸命見てる。

すると

「さたけ、完走、万歳、万歳。」

と、連呼してくれる!

ゼッケンを見て急いでパンフレットから選手名を探して万歳讃晶してくれているのだ。とてもありがたい

最期の角を右に曲がると50m先にゴールが見えた。ゴールの写真をどのように撮って貰おうかと考えながらゴールを目指す。

右手を高くあげ人差し指を突き出し、まるで一番の様にゴールする

タイムは、12時58分15秒、制限時間13時間まで1分45秒を残してのゴールだった

原先生と佐藤さんがゴールで待っていてくれ佐藤さんとは、完走の健闘を称え合いお別れする。完走メダルを貰い
(今まで完走メダルを貰っても嬉しくなかったが、このメダルだけは、別格である。)

近くの体育館の一角で着替えをするがこれがまたとても辛い。靴下を脱いだり履いたりするため中腰の態勢が筆舌しがたく辛い。油断するとすぐ脚が攣りそうになる。

10分くらいかかってやっとのこと着替えを終えて、公衆電話を探し妻へ完走の吉報を報告する。

原先生と脚をひきずりながら完走パーティーの開催されている体育館へ向かうが、ちょとした段差があるととても辛い。
やっとこさ体育館に辿り着くと座る場所がないくらいに賑やかにパーティが開かれている。

僕達は、制限ぎりぎりでゴールしたためもはや食べ物は残り少なくなっている。

焼き鳥やフライをつまみにビールで原先生と祝杯をあげながら、本にサインが欲しい僕は、夜久さんを探すが、残念ながら見つけることができない脚も痛くて探すのも辛い。

とうとうサインは、諦めることに・・

ホテルへ帰るバスの時間が、迫ってきたため後ろ髪を引かれる様にパーティをあとにした。

ゴールの時の写真が、もう現像してあり自分の写真を探してこれを買い求め帰りのバスに乗り込むと10分程でサロマ湖東急リゾートに着いてしまう。

レースの時には、この30kmを4時間も掛けてやっとのことで走り抜いたのにものの10分で着くとは、車の便利さに改めて感心するのだった

ホテルについてシャワーを浴びてホテルの食事を摂りに原先生と伴にレストランへ降りる。
階段を降りると脚に激痛が走るため1階降りるのにもエレベーターが乗らざるを得ない。

原先生と再び祝杯をあげバイキング形式の夕食をとるが,人間あまりに疲れていると食事を摂るのも面倒になる。
あまり食が進まずそうそうに食事を切りあげ部屋に戻ってウィスキーを少し飲み足した後、疲れた身体をベッドに横たえる。

いつのまにか眠りに就くと寝返りをうつたび脚に激痛が走りそのつど起きる羽目になる。
寝返りをうつ時に脚を使うことを始めて知り何度も寝たり起きたりを繰り返し朝を迎えたのであった。

レースの次の日は、とても良い天気でとなった
1階の食堂にバイキング形式の朝食を摂りにサロマ湖が朝日を浴びていてとても美しい

食堂では、参加賞で貰ったグレーのポロシャツを着ている人達が大勢、食事を摂っている。

さすがに完走メダルを掛けている人はいなかったが皆、100kmを完走していとても満足げな清々しい顔をしている。きっと僕と原先生も同じ様な顔をしているんだろう。

多分、聞いてはくれないだろうが、100km完走の苦難と感動を家族に話すためにいそいそと家路に着いたのであった






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おしまい








                                        
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プロフィール

走るお医者さん

Author:走るお医者さん
東京都大田区で開業している町のお医者さん
平成6年長女が、生まれたことを契機に一念発起してジョギングを開始!
フルマラソンのベストタイムは、3時間21分!
ウルトラマラソン100kmも年一度挑戦し完走!
基本的には、タイムを狙うというより仲間とおしゃべりジョギングを早朝や週末にジョギングを楽しんでいます。

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